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アイヴィヴィ!

たぶん、今回はすごく短いながらアインハルトSSを上げる予定

よしゃー、でけたー!(゚∀゚)


彼は気高い人だった。
古い時代の遠い人、私の元を作ってくれた人。
彼は自身のふたつの拳で王子としての地位を高め、自らの流派を用いて戦いの渦を切り払った。
だが、その彼にも勝てない人が一人、ただ一人だけ存在していた。
ベルカの聖王、オリヴィエ殿下。
真正面からぶつかって、持てる力を尽くしても彼女には生来敵うことがなかった。
そして、彼を置いて彼女は…… そんな悲しい記憶がいきなり現れては私の心を沈めていく。
小さなころから突き落とされるような気持ちの移り変わりに振り回された私にはいつの間にか喜怒哀楽の表現が苦手になっていた。
楽しいと思っていても、うれしいと思っていても彼の記憶が浮き上がってきた途端にすべてが色あせていく。
周りにみんながいてもそれは起こった。
初等部、入って一年目は友達と言う輪に薄く引っかかる程度には私はいた。
二年目には友達の輪から外れ、知り合いの輪の中にくくられていた。
三年目、四年目には友達どころか話す相手を探すことすら難しく、正気な私はさびしかった。
五年、六年、もう友達なんて探すのをやめて彼の記憶に従ってしまうことを受け入れた。

そうすればもう奇異の目で見られることはなくなって、私には平穏が訪れた。
だけど、何かに感動することも、楽しむこともなくなっていた……


「アインハルトさん。どうしたんですか、こんなところで?」
「ヴィヴィオさん……」

聖王教会の校舎の階段、何気なくポスターを見上げながら物思いにふけっていたアインハルトには答えるすべがなかった。
彼女、聖王でありながら普通である少女、高町ヴィヴィオはプリントを持っているところを見ると、どうやら先生から何か頼まれ物でもしたようだ。

「ヴィヴィオさんは何か頼まれたのですか?」
「あ、はい。クラスのみんなに休み時間のうちに次の授業の資料のプリントを渡しておいてほしいって」

えへへ、と笑う彼女はひだまりのように柔らかい。
冷たく、感情すら凍ってしまった自分にはとても心地よい。
だがしかし、それゆえに彼女がもし離れて行ってしまったときのことが怖い。
自分が辛さから逃げるように作り出した氷はすべてとかされて、無様に揺れてしまう未来が見える。
こんなことでは彼女の前にいる資格なんてないのではないだろうか。
少しでも笑顔にならなくては嫌な思いをさせてしまう。

「次の時間は、社会ですか?」
「あ、そう、みたいですね。うーんと、古代ベルカ王朝における外交とその関係……ですね」

話にできることが少なく、目に付いたことから話を進めようと思ったところ、思わぬ墓穴を掘ってしまった。
しかし自分だけで追いつめられたならまだしも、ヴィヴィオさんまで難しい顔になってしまって、これは困る。
きっと人の気持ちに敏感な彼女のこと、オリヴィエと彼のことを考えて、さらにその子孫の私に胸を痛めているんだろう。
あぁ、困った。
ヴィヴィオさんにはいつも笑っていてほしいのに、私には何も浮かばない。

「あの、ヴィヴィオさん……」
「あ、はい」

いたたまれなくて声をかけてみたけど、どうしよう。いや、こういう時こそ何かできる、何かしなければいけないはず!
彼女の表情を曇らせたままで教室に行かせるわけにはいかない。

「えっと、その、ですね……」
「はい?」

意気込んでも、言葉が出てこない……っ
このままでは、何もできないまま本当にヴィヴィオさんと別れて教室に行ってしまう。
ここまで引き留めておいたのに何もできないなんて、そんなふがいない姿をさらしたくない。
何もできないということが限りなく悔しい。

「……っ!」

あっ、思いだした。たしか、ヴィヴィオさんのお母様が……

「し、失礼します」

ふわりと触れた髪の柔らかさが手のひらを気持ちよくくすぐってくる。
きょとんとした表情から目を細めてくるくると猫のように声をあげてしまいそうなヴィヴィオさん。
たしかふたりきりのときにお母様に頭を撫でてもらうのが好きだと言っていた。
私の、彼の血にまみれたこの拳でこんなことをしてもいいのかと思ったけど、これしか思いつく方法がない。

「あの、アインハルトさ……」
「ヴィヴィオさんは、えらいです」

なでなでと彼女の頭を撫でていると、もっとしてほしいというように頭をこちらへ向けて、ちらりとこちらを見る。
それが可愛いらしくて、少し、顔が火照ってしまうのがわかった。

貴重な休み時間の中、どれほど時間が経過していたのかわからない時間を過ごして、頭に乗せた手を戻した。
名残惜しくはあったが、授業をサボることは褒められたことではない。なるべく授業には出ておかないと。
でも、ヴィヴィオさんとなら抜け出してしまっても構わない気がする。
彼の血が、私をそんな思考に落としてしまうんだろうか。

「あの、学校が終わったら一緒に帰りませんか?」
「え……?」

ぽかんとしてしまったのはヴィヴィオさん。
私がこんなことを言うのはやはりおかしいんだろうか。

「あの、嫌でしたら別に無理にとは……」
「ち、違うんです違うんですっ。アインハルトさんからそんなこと言ってくれるのがうれしくて、それで……」
「そこまででしょうか?」
「そうですよ、結構アインハルトさん無口だから」

そんなに、無口だっただろうか。一抹の不安が流れる。しかし、今はそんなことはいい。
ヴィヴィオさんが笑ってくれた。
それだけでずいぶん心が救われた。

「アインハルトさん?」
「……はい」

今度は私が問いかけられる番だった。
なにやらもじもじとしていてかわいらしい。

「あの、もしお邪魔じゃなかったら、えと、その……」
「どうしました?」
「あの、やっぱりいいです」
「はい……」
「そ、それじゃあまた放課後に」

それだけ言い残すとてててて、と行ってしまった。
顔を赤くしていたような気もするけど、大丈夫だろうか。
放課後に、ということは一緒に帰ってくれるということなんだろう。
彼女と一緒にいると私にも友達と呼べる人が、できたよう。
一緒に帰るときに話に困らないよう、いろいろ考えなくては。
意気込んで教室に戻ろうとするアインハルトの口元には、ほんのりと緩やかな笑みが浮かんでいた。








あい、短くてすみませぬ。
こうね、たまにスィーツが食べたくなるというかそういう具合でヴィヴィアイ?いや、アイヴィヴィでしたw

さて、原稿がんばらんと(=ω=;)
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