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え~、たまには……

どうも、こんばんは

今日は勢い余って金曜更新ww

今回は曲をSSにしてみました(と言っても前のに多少の手を加えた程度)
いい曲ですので一回聴いてみてほしいなって思います。
なお、後味が作者的に悪いのでそんなのはみたくねぇなという場合はスルーしてください。

ちなみにシリアスの切ない系です。

曲名は最後に書いておきます。



ではどうぞ





 月が冷たく輝く夜の森。
 少女の眼前には魔物がいた。
 異形の姿に浮かぶ狂気に輝く血色の瞳。
 立ち向かう少女が手に携えたのは魔を討つという銀色の弓矢。
 限界まで引かれた弓はしなり、放たれた矢は焔を纏う。
 魔物の胸に矢が突き刺さると、彼女の目からは銀色の雫がこぼれていた…… ―――――

「僕はアナタの手にかかって生涯を終えたい」

 いつだったか少年が少女に放った言葉は突然のものだった。
 町外れにある、木で作られた温もり溢れる山小屋。
 街からはおおよそ離れていて人が訪ねてくるということは滅多にない。
 だがその家に住む少年と少女の二人は寂しいと思うことはなかった。
 ただお互いがいるだけでよかった。
 だが、そんな二人が出会ったのはそこにある温かさとはかけ離れた状況だった。
 昔、少女が森へと訪れた。
 町のはずれにあり、うっそうと生い茂った葉が日の光を通さない。そこは危険区域に指定されていて立ち寄るものは誰もいなかった。
 誰かが迷い込んで帰ってこなくなったとしても救助なんて無い、そんな隔絶されたところだった。
 だが少女は踏み込んでしまった。理由はもう思い出すことが出来ないほど些細なこと。
 もう覚えているものなどいない。
 そんな森で少女はいまだ世界に確認されたことがない魔物に襲われた。
 そこに旅の途中の少年が剣を持ち、戦った。
 少女は震えていた。
 そして少年は守るためだけに戦った。死を覚悟するほどつらく、恐ろしい戦いだった。
 しかし大きな傷を負いつつも勝利を納めた。
 少年は満身創痍、傷も深い。
 少女は涙に身を震わせていたが、少年に歩み寄り、生死を分かつ状態と見ると泣きながら助けを呼んだ。
 かすれつつも響いたその声は森の中の木こりの青年に届いた。
 木こりは二人を山小屋に連れて帰ると少女と少年を篤く看病した。
 少年がベッドに寝かされていたときに少女は木こりに聞いた。
 なぜここにいるのか、どうしてここにいられるのか、なぜ無事なのか。
 木こりは簡潔に話しながらも曖昧さが伺える話し方で答えた。
 少女は深く追求したがはぐらかされるばかりだった。
 それからは少女と木こりは共に少年を看護した。
 少年が危機を脱し、話せるまでに回復したその夜、木こりが少年を訪ね、話をした。

古の伝説…満月の夜に現れし魔物、血色に光る瞳に写るものを際限なく砕く、体を打ち滅ぼせどその魔物に傷を負わされた者は呪いが全身を駆け廻り、やがては同じ魔物に成り果てるだろう……

 木こりが話したこの伝説の魔物が少年が倒した魔物だったということを。
 少年は愕然とした。
 それは事実、死亡宣告。
 なぜ自分がそんな相手に、まだ生きていたい、旅も終わっていない、やりたいこともまだみつかっていない。なのに、なぜ……
 木こりはなおも続けた。
 自分も魔物に遭い、同じように傷を受けたと……
 だから誰にも迷惑をかけないように街から離れて山小屋に住んでいるのだと。
 そしてこの山小屋で伝説を紐解いて研究を重ねていた。
 わかったことは発症までの期間は一年。
 木こりは命の期限の一年がそろそろ過ぎるという。
 微笑んだ木こりだったが、本来の意味とは違う色を浮かべたものだった。
 どうするのかと少年は聞いた。
 すると木こりは壁に掛けてあった銀の弓と同じく銀で造られた矢の入った矢筒を持ち、少年を見た。
 銀は魔物の呪いを打ち滅ぼすという答えに木こりは行き着いていた。
 だがそれは同時に自らの命が引き換えになり、どちらを選んでも元通りにはいられない。
 山の奥、泉のほとりで木こりは最期を迎えると言う。
 少年は止めた。
 他に手はないのかと。
 だが木こりは少年にもう一度微笑むと扉の奥の闇へと消えてしまった。
 沈黙の闇は少年に木こりの最期を悟らせた。
 それからは少女が一人で少年を看病し、外傷は完治を迎えた。

「僕はアナタの手にかかって生涯を終えたい」

 少女に淡い恋心を抱いた少年は切実に、心の底からそう言った。

「なんで、なんでそんなことを言うの、もう傷もなくなったじゃない……」

 彼女は溢れる涙を抑えられずにその場で泣き始めてしまった。
 少女は木こりから少年を頼まれていた。
 だがそんなことは関係なく、自然と看病だけでなく身の回りの世話もしていた。
 少女もまた、少年に心惹かれていた。

「ごめん、泣かせるつもりじゃなかったんだ。ただ避けられない最期は、キミの手で……」

 彼女は泣き止まなかった。
 悲しくて、哀しくてたまらなかったから。
 助けた少年がまた命を危ぶもうとしているから。
 愛するのは少女も同じ。
 少年を死なせたくない、ましてや自分に命を奪ってほしいと言う。
 だが少女は少年に抱き締められると涙を止めた。

「お願いだ。約束してほしい……」
「っ、……うん」

 苦しくて仕方なかった。
 だが抱き締めた少年も少女と同じく震えていた。
 それが気持ちを決めさせた。

 そして一月、二月と時を重ね、その日はやって来た。
 夜が更け、月だけが円く輝く中、少年が山小屋で己の最期の準備をしていた。
 自身を柱に縛り、目の前には銀で造られた弓矢。
 かつて木こりの最期を看取った弓矢である。
 少年がただ一人で木こりの骸を探し、迎えに行ったのだ。
 山の奥、泉のほとりにいた木こりは真上から突き刺さった矢に貫かれていた。腐ることもなくいたその姿は逆に神々しくも見え、寒気が止まらなかった。
 まるで死んでいないように穏やかな顔で、いつも浮かべる微笑みを作っていた。
 少年は涙を流して矢を抜いた。
 その矢と弓が今ここにある。

「頼む。僕を人のまま終わらせてくれ……」

 少年は深く頭を下げ、数メートル先の少女に銀の弓矢を託した。
 それは約束。
 愛しい手で最期を迎えたいという約束。
 涙をにじませた少女は何も言わずに壁にかかった弓矢を受け取った。

「射ってくれ」

 少年は意を決して言葉を吐いた。
 最後だと覚悟して、うっすらと微笑んで……
 しかし少女は弓矢を抱きしめ、射とうとはしない。
 ついには涙が落ちた。

「どうした?」

 身動きが取れない少年が声をかけた。

「わたしには、射てないよぉ……」

 約束をした。
 少女が少年を射つ、と。
 だが過ごしてきた月日は少年への思いを募らせ、決意を鈍らせてしまった。
 少年さえ生きていられるのならどうなってもいいんだと思うほどに。
 とめどなくこぼれ落ちる涙。
 苦しみと悲しみ、願いとわがまま、約束と別れ。
 選択の重さに潰されてしまった少女は顔を上げることもできない。

「お願いだ。今日がもう最期なんだ」

 そう、今日が過ぎれば一年が過ぎる。
 愛しいものとの時間が過ぎるのは速く、儚い。
 少年は懸命に訴える。
 自分が魔物になってしまった後を恐れて。
 愛しい少女を傷つけたくはないと。

「最後って、何? いやだよ……」

 だが少女は今も後も少年を傷つけたくはなかった。
 大好きで、涙してしまうほど大好きで……
 少年はそんな少女の涙の真意を知ることはできなかった。

「ぅ……うぁ、ぐ、あぁぁ、あああぁあぁ!?」

 少年の身体に変化が始まった。
 肌の色が暗くなり、そこに真っ黒な模様が体に沿って引かれていく。
 腕は膨れ、胸、腹、背中からは袋に入れられた何かが飛び出さんかのごとく内側から気味の悪い音をたてて盛り上がっていく。
 縄は肉の膨張に耐えきれずに千切れ、かろうじて少年である何かを拘束するものはなくなった。

「なに、どうしたの……?」

 少女は胸に抱えた銀の弓矢を抱きしめる。
 少年が変わってしまう恐怖とまた命が危険に晒されていることに、少年が苦しんでいることに。
 ただ見ているだけだったわけではない。少年の名前を絶えず叫んでいた。

「う、ぐぁ、ああぁ、がぁあぁぁああ!?」

 届かない。
 もう戻らない。
 変わる。
 変わってしまう。
 彼が。
 愛した少年が。
 だがどうすることもできなく、少女は立ち尽くした。
 絶叫が消え失せるともう少年の姿は跡形もなくなっていた。
 あるのは魔物。
 うなだれ、膝を折って座っている。
 元の少年よりも一回り以上膨れ上がった身体には毛が生え、身体中には内からの破壊に耐えられずにちぎれた少年の体の欠片に血液。
 動けずに変わっていく様を見た少女は恐怖に弓矢を抱きしめるばかりで射つことなどできはしなかった。
 魔物がだるそうに体を起こし始める。手をつき、膝を立て、腰を上げる。
 そして下げた頭を大きく振り上げると咆哮と呼ぶに相応しいうなり声をあげ、山小屋を揺らした。
 魔物は立ちすくんだ少女を一瞥すると踵を返し、耳にまとわりつく音を立てて壁に向かって歩く。
 そして壁の前に立つと異形の腕を振り上げ、うなりながら壁に叩きつけた。
 壁は軋みながら砕け、できた穴から闇へと体を隠した。
 少女はえずき、泣いていた。
 悲しくて、苦しくて、悔しくて。

「っうぁ、っ……」

 少年が異形の姿になってしまった。
 かつて自分を襲った「モノ」になった。
 少年の存在がなくなった。
 また魔物が現れた。
 わたしには少年が射てなかった。
 そのせいでああなった。
 大好きだった。
 少年とただ二人だけでよかったのに。
 続いてくれなかった。
 最期が来るのはわかっていた。
 ずっと二人で歳も取っていくんだって思ってた。
 けどあれが少年の最期だった。
 避けられない終焉だった。
 一年前、そのときは自分に、と約束した。
 なのに、わたしは射てなかった。
 約束したのに……

「……まだ、間に合うかな」

 流れる涙をそのままに、少女の口からは言葉がこぼれた。
 何もなくなって、愛した人もいなくなって、ただ約束だけが心に残った。
 少年は誰でもなく少女に最期を望んでいた。
 それはまだ、間に合うだろうか。
 少年が違う存在になっても少女が魔物の内側にいる少年を射つならば約束は成し遂げられる。
 そう信じ、少女は涙をぬぐって立ち上がった。
 月明かりが魔物からしたたる血を浮かび上がらせていたためにあとを追うのは簡単だった。
 だがそれを少年の血だと思い起こすと少女の小さな胸は締め付けられ、手の中に強く弓矢を握った。

 夜の森に狂気の音が轟く。音は近く、雷が落ちたかと間違うほど。
 少女は畏縮してしまいそうな体を音の元へと進ませる。
 一歩ごとに注意を払いながら足を動かす。
 そこにはただ立つだけの木を狂気に任せてなぎ倒す魔物の姿。
 その光景に少女は立ち尽くした。
 あれがかつての少年。
 自分を襲ったモノの姿になり、破壊の限りを尽くす魔物。
 不意に足が後ろに下がる。

「……っ」

 逃げてはいけない。
 また逃げたら約束が果たせない。
 もう少年との約束は破らない。
 弓を左手に構え、肩に提げた矢筒から矢を引き抜く。
 呼吸が止まる。
 狙いを定める左手の震えが止まらない。
 目の前で暴れる魔物も怖い。
 けどあれは少年なのだ。
 少女のたくさんの思いが溢れ、世界が歪む。
 思いを噛み殺し、引き絞った矢を離した。
 銀の矢は風切り音を立てて無情にも一直線に飛び、纏った深紅の焔は螺旋を描く。
 突き刺さったのは肩。
 咆哮をあげながら殺気を孕んだ血色の視線を射つ魔物。
 矢筒から淀みなく継ぎの矢を抜いて構える。
 腕を引きずる姿が大怪我を負っても守ってくれたかつての少年に重なる。
 誰よりも愛しくて、大切で、大好きな……
 心に決めた約束が揺らぐ。

「……っ!」

 魔物が足を踏み出した音が少女に届くと流れる雫に構わず矢を射る。
 何度も、何度も、思い出を振り払うように……
 矢はいくつも魔物の体へと突き刺さる。
 しかし刺さるごとに一歩ずつ魔物は距離を詰める。
 かつて切り裂かれた右肩をはじめ、太股、右胸、脇腹。
 魔物は満身創痍。
 まるで遠い日を繰り返しているようだ。
 冷たく、恐怖に満ちていて、けれど始まりになったあの日。
 少年と出会った日……

 魔物へと残り三本となった矢の一本を放つ。
 胸を狙って放った矢はかろうじて動く左腕にはばまれる。
 血に濡れた体で迫ってくるにも関わらず視線は弱ることがない。
 魔物の踏み出した足が近い。
 焦りつつも二本目を淀みなく構えて射る。
 それに魔物が腕を振り上げて対抗する。
 左腕に矢が増えるが高く振り上げられた腕は少女への鉄槌。
 血色の瞳が少女を捉える。

「約束、守るから……」

 涙で濡れた瞳と血に濡れた瞳が交差する。

 最後の矢が……放たれた。

 時が歪み、たった一瞬のことが永遠へと姿を変える。
 腕は矢が飛ぶよりも遅く、容易く矢が突き刺さり、螺旋に伸びた焔は魔物の胸へと吸い込まれ、少年の呪いを燃やし尽くした。
 降り下ろされた腕は方向を失って落ちる。
 ただの脱け殻の魔物。
 衝動に駆られた魔物の末路。
 元の体へと戻った。だが、ただ少年の姿をしている入れ物。もう少年はいない。
 約束は守った。
 けれど、この穴が開いてしまったような感覚はなんだろうか……
 約束を果たせば少年は死んでしまうとわかっていた。
 だけど少年がそれを望んだ。
 自分も少年を失うのは嫌だとわかっていたけど、それを叶えてあげたいと思っていた。
 そうすれば少年が喜んでくれると思ったから。
 喜んだ顔がただ見たかっただけなのに……
 ただそれだけで幸せだったのに………
 少年の倒れた骸を仰向けにして肩を起こす。
 これはどうしようもなく少年だった。
 少女よりも少し大きい肩幅。ときに抱き締めてくれた両手。看病していたときに飽きるほど見た穏やかな寝顔。ただ、違うのはそのすべてが冷たいだけ。
 それだけなのに少年は目を開けない。
 眠った顔に少女は自分の顔を近づける。
 前にこうしたときは途中で少年が起きて慌てていたのを思い出す。

「ねぇ、わたしはここにいるんだよ……?」

 反応が何も無いことにもう少年はここにいないんだと悟る。けど信じたくない、信じられない。
 知らないうちに親しく、お互いがお互いを思っていた。それを伝えようとしたことも無く、あらためて言うことでもないと考えていた。
 だがそれゆえにひたすら仲がよいだけだった。それで満足していたはずだった。いつかどうにかなるとでも思っていたのかもしれない。
 けれど今、このときばかりはそんなものは妄言だったのだと思い知らされる。
 いなくなって初めてわかった。後悔だった。
 せめてと、もう永遠に目を開くことはない少年に少女は自らの唇を重ねた。
 唇を濡らした少年の血は少女の初めての口紅になった。
 胸の奥はただ冷たくて、寂しくなっただけ。
 苦しくて、辛くて、少年がいないなんて嫌で、胸の奥が締め付けられて……
 どうしようもなくて少年の胸に額を当てて泣いた。
 涙が、枯れ果てるまで……

 少女は少年から矢を抜いた。
 たった一本、少年を解放した矢を。
 いつの間にか手から零れ落ちていた弓、それを拾い上げる。
 そして今しがた眠りについた子供を寝かせるように少年を仰向けに寝かせた。
 涙が流れた跡を残して少女は頭上に輝く月を見る。

「月は……太陽がないと、光らないんだよ……」

 誰に対する言葉でもなく、嘲りながら呟いた言葉。
 弓を構え、天高くに矢を放つ。
 矢は頂点に達すると翻り、また落ちていく。
 そして真下にいる少女の胸へと突き立った。
 風に揺られて倒れた少女の隣には物言わぬ少年。
 少女は力なく微笑み、手を繋いで言った。

「ずっと、一緒にいるから……」

 寄り添った少女の瞳からは、銀に輝く雫が流れていた。






曲は「恋人を射ち落とした日」でした。
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