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バレンタインSS

お久しぶりです。風切です。
最近、忙しくてやんなっちゃいそうな毎日を送っています。
というのはだいたいツイッターあたりでつぶやいてますw

まあ、そんなことはどうでもいいですよね。

久しぶりのSSは記事のタイトルからもわかるとおりバレンタインものとなりました。
で、気づいたのがこのSSにタイトルをまだつけてないっていう……

-------------------10分経過------------------

『足りないくらいのチョコをあげる』

ではでは、おたのしみあれ


車内に響くけたたましい重低音。
カーブにさしかかり、クラッチとブレーキを踏みこみ4から2へとギアを滑らせる。
エンジンの回転数をそのままにハンドルを鋭く切っていく。
横滑りする車体をキープしていくと、カーブの出口でハンドルを戻してクラッチをつなぐ。
衰えることのないスピードにギアを上にあげて外の景色を線にして後ろに流す。
目的地である駐車場に車の影はない。
スピードにのったまま入口に差しかかり、タイヤの削れる音を甲高く響かせながら再び車の進行方向ではない方向に進ませていく。
火花が散るようなスライド進行。
しかし玄関が見えてくると寸でのところでピタリと制止した。

「ふぅ……っ」

車から降りた人物は光に透き通るようなブロンドを振ると厳格な職務に就いていることを示す黒の制服にさらさらと、鈴の音がなるようにやわらかく落ちた。
精巧な人形のように造形の細やかな顔には仕事だったせいか額のあたりに多少の疲れがのぞく。
けれど動かすことのなかった顔を途端ふにゃっと崩すと、長い腕を持ちあげて気持ちよさそうに伸びをした。

「んー……っ」

視界の端に浮かんだ涙を指でぬぐいつつ後ろの席からかばんを取り出す。
ドアを閉めて鍵も閉めると、多少の疲れの残る顔で起動六課の玄関をくぐった。



一応の報告のために部隊長室に向かおうと歩を進めていると休憩室で一服してる部隊長を見つけた。
香りから見るとたぶんコーヒーだろう。
たしか前に『連日働きづめでカフェイン摂取しないとやってられない』って言ってたし、確定だろう。
そんなことを思いながらじーっと見ていたらはやてと視線がぶつかった。

「お、そか。もう帰ってくる時間やったんやね」

飲み終わっていたらしいカップを捨てて『よいしょ』なんて言いながら立ち上がるところを見るとはやても疲れてるんだなぁ、と他人事のように思う。
たまにわたしも帰るのが遅くなるけどはやてはいっつも遅い。
たしかに疲れもたまるはずだ。

「ただいまもどりました。部隊長」

いつもより無駄に力強く冗談めかして礼をしてみると不思議と笑えてくる。
ホッとするとでもいうのか、はやても一緒に笑っていた。
はやては正直、部隊長というよりはやっぱり昔からの友達って頭が強くて自然とおちついてしまう。
それがいいことか悪いことかはわからないけれど。

「いやー、少し疲れちゃった」
「にしてはものっそい音、響いとったよ」
「あー……」

この前確かおんなじことを指摘されてしまっていたことを思い出したら少しまずい気がしてきた。
まずい。

「まったく。トばすのもええけど公道なんやからちゃんと速度制限を守るように」

ため息交じりに言われてしまったが、口元が笑ってるのでとりあえず私も笑っておく。
やっぱり上にともだちがいると何かと融通がきいて助かるね。
気をつけなくちゃいけないのはわかってるんだけど、疲れた時なんかはついちょっと飛ばしてしまう。

「そーいやなんやけど……」

言いながらはやてが視線を休憩室の天井の隅っこに向ける。

「そういえば今日ってバレンタインデーだよね」

何も考えずに思いついたことが口から出ると、はやてがジト目になってこっちを向いた。
別に間違ってないよね?
今日はちゃんと14日だし。
あ、またため息つかれた。

「まぁもてもてなライトニング隊の隊長殿はチョコとかみんなからめっちゃもらってるんやろ?」
「え、なんで?」
「なんでって……とりあえずそのバッグの中にいくつチョコ入ってるか言ってみぃよ」
「あ、うん。えーっと――たしか向こうについたときに所轄の子たちに囲まれてチョコを渡されて、用が終わって帰ろうとしたときに曲がり角でぶつかったり柱の陰から出てきた女の子たちからもチョコもらったかな」
「うわー、フェイトちゃんきもちわるーい」
「えっ、きもち悪くないよ!?」

改めて呆れたようにジト目になったはやて。
これはもらいっぱなしで何をしてるんだってことだよね。
とりあえずそんな解釈をした私だけど、それならバッチリ。

「ちゃんともらったみんなには私からもチョコをちゃんと渡したよ。まあ、まさか持っていった分全部なくなるなんて思ってなかったけどね」
「えっ!? たしか車のトランクにもお返し用とか言ってチョコ入れてたやん」
「うん。全滅」

あははと笑う私にジト目になりっぱなしのはやて。
しかし、何かに気づいたようににやりと笑う。

「ったく、ほんまにフェイトちゃんは女ったらしになってしまってわたしは悲しいよ」
「別にそんなんじゃ……と、なにこれ?」
「何って……そんなん聞くんは野暮ちゃうの」

眉毛がちょっと困った風なはやてだが、口元はいつも通りににやけている。
いわゆる友チョコってやつだからたしかに聞くだけ野暮だね。

「ありがと、はやて」
「ん……」

なぜか照れ臭そうにぶっきらぼうになるはやて。
はやてのほほが心なしか赤い気がするけど、ここ、意外とあったかいし長くいたら赤くもなるよね。

「お、おかえしは仕方ないからホワイトデーまで待っててあげるな」
「え? はやてには別で……」
「はぁ!?」

バッグをごそごそし始めたわたしに向かっていきなり大声をあげたはやて。
おかえし、ちゃんとはやて用にももってるから渡したいんだけど……えっと、どこいったんだろ。

「えっ、いや、さっきお返し用のチョコ全部なくなったって言ったやん」
「それは隊のみんなの分。なのはとかはやてにはちゃんと別で用意してあるって、ほら」
「ほらって……いやいや、そんなみんなと差別みたいでいかんやんか……」
「? 別に差別とかじゃなくてはやてには昔からお世話になってるし、特別にチョコを用意するのは当然だって」
「特別とか、ほんとフェイトちゃんは……」

うつむいてぶつぶつ言い始めるはやて。
差しだしたチョコが宙ぶらりんな感じがしてなんとなく物悲しい。

「あの、気に入らなかった……?」
「いや別にそう言うわけやないんやけど……い、いやちゃうんよ。ほら、もらうからそんな寂しそうな顔せんで」
「べ、別にさびしそうな顔なんかしてないよ!」
「あ、そか」
「どうしたの? 別にわたしはもらってくれなくてもさびしくなんてなかったよ!」

頭をぽんぽんと撫でるようにしながらなだめるようにから笑いするはやて。
けど笑ってる割に足元やら壁と床の間やら窓の外にと忙しく視線をどこかしらへと向けている。

「わたしもチョコもろたし、ホワイトデーのおかえし楽しみにしといてもらわなな」
「そんなの気にしなくていいのに」
「『そんなの』とはなんよ。おかえししたいって言うてるのに! まあフェイトちゃんはもらった分も相手に渡してるからええかもしれんけどな!」

ふいっとそっぽを向いてしまったはやて。
これはなんかちょっと雲行きがまずいことになってきたのかも。
別にホワイトデーにもクッキーを配ったりするんだけどな。

「ほんと、フェイトちゃんはにぶちんさんなんやから……」
「ふぇっ?! は、はやて!?」

焦れたようにいきなり抱きついてきたはやて。
熱っぽい吐息が首にかかる。

「ったく、わたしがこう言ってるんやから素直に『ありがとう』って言えばええんや」

挑発してくるセリフが妙に耳に残る。

「は、はやて……? その、みんな、見てる……かもよ?」
「そんなん部隊長権限で黙らせたるわ」
「それって職権乱用……」
「なんか言うたか」
「いえ、なんでも……」

至近距離まで近づいた顔がむっと歪む。
こうなったはやては動かないからなぁ……。
私よりも背も小さいし軽い女の子っぽいはやての体がわたしの体にしなだれかかってると思うと、少し頼られてる気がしてうれしいなんて思ったりしないこともない。

「はやて、そろそろ離れてくれないと」
「ん、次にどっかいくところとかあるんか」
「そろそろ帰らないと、怒られるかなー、とか……」
「ふぅーん……」

静かになったはやてが品定めでもするようにわたしを見る。
なんかヤバい雰囲気に視線をそらしたその時、だった。

「ふぇぅあぁっ!?」

途端に首元にチカッとした痛み。
変な声を出してしまったけど、それよりもはやてが何をし始めたのか考える方がおそろしい。
また何かされるかもしれないと軽く気を張った矢先、はやての絡みついていた腕から力が抜けて離れていった。

「ったく、もう帰ってよし」
「え、え?」

まったくもってわからない。
いったい何があってわたしを解放したのか。
だいたいはやてが意地になってくっついたら何かし終わるまでは離れない。
痛い思いはしたけど微々たるものだったし、いつもならあれで終わるとは到底思えないけど、ひょっとして許してくれたのかな……?

「わたしもなのはちゃんは敵に回したくないしな。でも罰としてホワイトデーにわたしと一緒にディナーをすること。もちろんイヤとか言わんよね?」
「あ、え、ディナー?」
「いやなん」
「別にそんな。全然大丈夫だよ」

ディナーなんて最近行ってなかったし、たぶんなのはも喜んでくれるよね。
そもそも外食を最近してなかったような気がする。
家に帰ったらなのはがごはんを作ってくれてるし、行く必要がない。
でもやっぱり自分に作れないほどおいしい料理、仕込みに時間がかかる料理となればやっぱり外食しかない。
もしおいしい料理を食べてなのはが作れるようになったらなんて考えたら、わたしすっごくしあわせかも。

「……あほ」
「?」
「そんじゃホワイトデー、2人分予約しとくから。楽しみにしてるからなー」

そう言って手を振って休憩室を出ていってしまったはやてだったが、わたしの心には漠然とした不安だけが残っていた。
2人分? 3人分じゃなくて? えっと、2人分だったらはやてと、わたし? いやいや、でもそうなるとなのはを連れていくことが……あ、でもなのはとはやてに行ってもらえば……でもはやてはわたしに一緒にディナーに行くことって……あ、え? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
わたしと2人でディナー!?
そんな、まるでそんなのデートみたいな……。
まさか……。
これじゃあほって言われても仕方ない、かも……うわぁ、ホワイトデーどうしよう。
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