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空にとける

どもー

1時間で書いてみるやつをやってみました。
1時間55分かかって全文書いたので、1時間のところで続きに切ってます。

ではどぞー

フェイはや




果たしてどれだけの人がこの人の姿に見とれるだろう。
私と同じ年にして、雷光のように空を切り裂く漆黒の魔法使い。
罪深い者どもにしてみれば目もくらむであろう猛々しき閃光。
その黒衣の執務官が私の横で空を臨む。

――私はこの姿を、いつの日から眺めていたのだろうか



わたしの人生の転換期。
それもとんでもないほど大きくて、普通では考えられないほど突飛な事件。
今までの人生を根こそぎひっくり返す、それこそ葉が根に、根が花になったようなおかしな事件。
動かなかった足が動くようになり、いなかった家族が5人も増え、1人失った。
うれしくて、楽しくて、けれど悲しくて辛い一歩を踏み出した闇の書事件。

けれどそれも過ぎた話。
この日の朝は、いつも通り朝食を作ることから始まった。

みそ汁、ごはん、焼きしゃけにお漬物。
そんな朝食の献立を考えながらキッチンで支度をしていると後ろから声がかけられる。
「おはようございます、はやてちゃん」
振り返ると若草色のエプロンに腕を通したシャマルがいる。
いつも通りのやわらかい笑顔だが、どことなく残った朝の眠気をくすぐってくる。
「おはよ、なんだか今日はごきげんやね」
眠気まじりに言葉を返すと、エプロンの後ろを結んでいたシャマルがそのままの姿勢で答える。
「もちろんです。だって今日ははやてちゃんの初めての登校日ですから。それはもう楽しみにせずにはいられません」
うれしそうに言うシャマルだが、その実、対するはやてはなんとも複雑な表情を作っていた。
「楽しみじゃないんですか、学校……?」
表情の変化を見逃さないシャマルは自身も不安げな表情を浮かべながらはやてに問う。
「そんなことはないんやけど、なんやちょう落ち着かない感じなんよ」
困ったように笑うはやてにシャマルもまた笑う。
はやての車いすの前にひざをつき、手を握る。
今度は不安など見えない明るさで笑いかけた。
「大丈夫。はやてちゃんなら勉強もできますし、足だって良くなってきてる。それになにより――」
撫でていた手を離し、シャマルは立ち上がる。
「もう友達だっているじゃないですか」
まっすぐ目を合わせ、2人の間で心がつながる。
大丈夫、なんとかなる。
大きな危機を救ってくれた小さな勇者が側にいるのだから。

それからシャマルは時分から朝食の当番を買って出て、はやては制服に袖を通した。


「それでは、これからなかよくするように」
ざわつく教室と見慣れた数人のともだち。
朝のホームルームが終わり、過密の極みとも言える質問攻めをアリサが捌き、ようやく落ち着いたといえた昼休み。
「どうかな、似合ってるんやろか」
ははは、と自身なく笑いながら問いかけたのは聖祥小の制服について。
なのはやフェイト、アリサにすずかが着ていたものは見慣れているはやて。
しかし、いざ自分で着てみると似合っているのかいないのかよくわからなくなっているのだった。
「もちろん似合ってるわよ」
と自信満々にアリサ。
「うん、とっても似合ってる」
なのはも同意を示す。
「わたしも似合うと思うよ。それより着替えるの、大変じゃなかった?」
すずかも似合うというものの、気になるところは別にあるらしい。
「ううん、逆にちょっと楽なくらいやったから問題ないよ」
そうなんだ、と感心するともだち4人。
「そうだ、ごはん食べ終わったら学校を見て回ろうか」
すずかの提案は何よりのものだった。
学校に入ったのはこれでも片手で数えて事足りる程度。
もしも移動教室などあろうものならはやてひとりでは辿りつけないことだろう。
感謝の言葉を口にしたはやてだったが、気まずそうな2人組も、口を開くのだった。
「あの、ごめん。それなんだけど……」
「あたしとなのは、委員会の方で呼ばれちゃってて行かないといけないの、ごめん」
アリサの言葉にごめん、と同じく続けるなのは。
元からの予定にケチをつけるわけにはいかない。すずかの提案だけでありがたい話なのだ。
「そんな、あやまらんでもいーよ。委員会やって大切なお仕事なんやし、気にせんといて」
難しそうな顔ですまなそうにしているなのはとアリサに、すずかも言葉で背中を押す。
「わたしとフェイトちゃんでしっかり校内の案内をしてくるから、今度はふたりに委員会なんかのことを教えてほしいな」
「そっか、なるほど」
「それいいね」
ふたりも明るさを取り戻し、ご飯を食べて教室を出ていった。
「それじゃいこっか」
それを見送ったすずか、フェイト、はやての3人組は校内の探索へと出かけていった。

理科室、家庭科室、視聴覚室に音楽室。
体育館に理科準備室。

どこもそれぞれに役割の濃い部屋になっていて、民家のような普遍性溢れる画一的な構造にはなっていなかった。
学校という場所が楽しく思えてくる案内にはやては満足していた。
だが、準備室を案内してもらっていた時である。
「すずかさん、ちょっといいですか?」
「あ、ごめん。せんせいに呼ばれちゃったから行ってくるね」
あとはあそこだけだから、とフェイトに言付けをして、すずかは行ってしまった。
フェイトとはやて、たった2人になってしまった。
「それじゃはやて、最後の場所に案内するね」
フェイトの言葉に、少しはやてはとまどっていた。
実のところ、はやてはフェイトとどう付き合うべきかつかみ損ねていた。
事件のときは言葉を交わしたのは数回、むしろシグナムとフェイトで話している時の方が多い。
すずかとなのは、アリサは自然と近寄ってきてくれるタイプということもあって、すぐに馴染むことができていた。
校内エレベーターに入り込み、1階からゆっくり上がる数字に目を動かす。
1……2……
「これから行く場所は」
フェイトの声にはやては意識を戻される。
「わたし達のお気に入りの場所なんだ」
今まではやてが聞いたことのないフェイトの穏やかな声。
「それって、どういう――」
聞き返そうとすると、目的階到着のベルが鳴った。
分厚い扉がゆっくりと開く。
さわやかな風が吹いた。
校舎にいるというのに開けたその場所は、街の遠くまで、海の先まで見渡せるようだった。
「ここが、わたし達のお気に入り」
はやても気にいった?
そんな風に言外に聞いてくるようで、思わずはやても声に出していた。
「きれいなとこやね」
広い空が見渡せる屋上は、空を飛ぶものにとっては第二の玄関とも言える。
そこがきれいであれば、それはとても気持ちのいい空間だ。
「わたしが来た時も、ここに案内されたんだ」
すると、フェイトはなのはと知りあったきっかけを、そしてそれによって自分は救われたことを、ほんの少しかいつまんではやてに教えていた。
同情ではない。
もちろん突き放すつもりもない。
「はやては、何か不安かな」
フェイトは、車いすのハンドルを握りながらそう言う。
もちろん答えることは決まっている。
「不安なんて――」
何もない、と言おうとしたものの、漠然とした不安が胸の内にあることに気付いていた。
いろいろなことがあった。
それでも自分はここにいていいのだろうか。
こんな、まぶしく輝いた場所に。
「はやて」
頭の上にかけられた重さに、はやては自分がいつの間にかうつむいていることに気がついた。
同時に、頭を触られていることに気づく。
穏やかに微笑むフェイトが、やさしく、撫でてくれている。
それがこそばゆくて、だけどうれしくて、それでもどこか泣きたいくらい切なくて。


――「はやて」

いつの間にだろう。
こうして眺めている時でさえ、私の頭に手を置いて子供扱いをしてくる。
自分だって同じ年をしているくせに。
「ちょ、やめぇ。あんまり撫でられると縮んでしまうやんか」
「そう? はやては小さいまんまの方がかわいいと思うけどな」
こういうことを、この執務官殿はしれっと言いおる。
まったく、この年になってまで……。
私は指揮官、そちらは執務官。
そこらへんに釘を刺しながら、不機嫌を演じて前を向き直る。

それでもなお

横目で眺めてしまうのは

私が、恋をしているからだろうか……
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